今後10年間における医療の方向性

新興国での高齢化の進展と医療ニーズ増大、グローバルでの医療費高騰とその抑制に向けた制度改訂、新薬開発におけるR&D費の増大、アンメットメディカルニーズの充足を中心とした治療薬開発へのシフトなどにより、製薬・医療関連企業のビジネスモデルは、医薬や医療機器類といった周辺を含めた大きな変革期にある。

  医療の方向性 医薬・医療関連企業の対応
1 早期診断・検査、早期治療による
予防的医療(先制医療)
健康診断の高度化、高付加価値化(遺伝子検査等)製品の開発、疾病予防のためのワクチン開発の強化、セルフメディケーションに対応するOTCへのスイッチ等が進む
 
2 アンメットメディカルニーズを
対象としたバイオ医薬の拡大
多数の患者を対象にした低分子・ブロックバスター戦略から、治療充足度の低いがん及び脳神経疾患等の、アンメットメディカルニーズの高い疾患を対象にしたバイオ医薬へ、開発の重心がシフト
 
3 コンパニオン診断・治療 分子標的薬の増加、抗体医薬普及による医療費増加及びロフェコキシブを始めとする大型薬剤の副作用の表面化により、より効果と安全性の高い患者を絞り込んで薬剤開発を進める流れが加速
 
4 新規のがん治療法の確立化 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)、重粒子がん治療法といった新規の治療法が実用化され、関連する機器も含めてがん治療に関する市場構造が大きく変わる可能性
 
5 ジェネリックの普及拡大と高付加価値ジェネリックの拡大(投与経路・剤形変更、バイオジェネリック等) 新薬企業によるジェネリック市場への参入に加え、既存薬の投与経路変更によるパッチ薬の開発、バイオジェネリック等、従来よりも付加価値の高いジェネリックの開発が進む
 
6 介護ビジネスの成長 先進国のみならず、今後は新興国における高齢化が急速かつ高度に進行し、介護に関連したソリューションに対するニーズが高まる